換気は何分すれば足りる?計算で出した部屋別の目安と、時間で決まらない理由

結論から言うと、換気に必要な時間は「何分」では決まりません。同じ5分の窓開けでも、条件によって空気の入れ替わり方は10倍以上変わります。

目安として厚生労働省が示しているのは、時間ではなく「1人あたり毎時30㎥の換気量」「室内のCO2濃度が1,000ppmを超えていないか」です。この記事では、なぜ時間で決まらないのかを計算で示したうえで、実務的にどう判断すればよいかを解説します。

換気のタイミングを数値で判断する

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「換気は◯分」と言い切れない理由

空気の入れ替わる速さは「換気回数」で決まる

換気の速さを表す指標に換気回数(回/h)があります。1時間に部屋の空気が何回入れ替わるかを示す数値です。

そして、この換気回数は窓の開け方・開口面積・外の風速・室内外の温度差で大きく変わります。だから「何分開ければよいか」は、条件を決めない限り答えが出せません。

換気回数ごとの所要時間【計算値】

CO2濃度が2,000ppmまで上がった部屋を、1,000ppmまで下げるのにかかる時間を計算しました。屋外を450ppm、部屋の中の空気が均一に混ざると仮定した理論値です。

換気回数 2,000ppm → 1,000ppm 2,000ppm → 800ppm どんな状態か
0.5回/h 約124分 約179分 24時間換気のみ(窓は閉めたまま)
1回/h 約62分 約89分 窓を少しだけ開けている
2回/h 約31分 約45分
3回/h 約21分 約30分
5回/h 約12分 約18分 窓を1ヶ所しっかり開けている
10回/h 約6分 約9分
20回/h 約3分 約4.5分 2方向の窓を全開、風がある

同じ「窓を開ける」でも、必要な時間が3分から2時間まで開きます。「5分開ければ十分」という説明が正しい場面もあれば、まったく足りない場面もある、というのが実態です。

窓を開けたとき、換気回数はいくつになるのか

ではその換気回数はいくつなのか。ここが問題で、実際に測らないと分かりません。次の要素すべてに左右されるからです。

要素 換気回数への影響
開口部の数と位置 1方向だけ開けても空気の通り道ができない。2方向、特に対角線上に開けると大きく増える
開口面積 窓を「少し開ける」と「全開」では数倍違う
外の風速 無風の日と風の強い日では大きく変わる
室内外の温度差 温度差が大きいほど、重力換気(煙突効果)が効く。冬は入れ替わりが速い
部屋の容積 同じ換気量でも、広い部屋ほど換気回数は小さくなる
家具・間仕切り 空気が滞留する場所ができると、部分的に濃度が下がらない

厚生労働省の資料でも「2方向を窓開けると換気効果が大きい」とされています。逆に言えば、1方向だけでは効果が限定的だということです。

部屋別の目安【計算値】

時間で判断するのが難しいなら、「その部屋は換気しないとどこまで上がるのか」を知っておくほうが実用的です。1人あたりのCO2発生量を0.02㎥/h(成人・安静時)として計算しました。

6畳の寝室に大人1人(約24㎥)

換気の状態 1時間後 2時間後 4時間後 8時間後
24時間換気あり(0.5回/h) 約1,100ppm 約1,500ppm 約1,890ppm 約2,040ppm
隙間換気のみ(0.1回/h) 約1,240ppm 約1,960ppm 約3,200ppm 約5,040ppm

24時間換気が正常に動いていても、朝には2,000ppm前後まで上がるという計算になります。「寝室のCO2は朝に高い」というのは、設備の不具合ではなく、この部屋の広さと換気量では当然そうなる、ということです。

会議室に6人(50㎡×2.6m=約130㎥)

換気回数 30分後 60分後 90分後 120分後
0.5回/h 約860ppm 約1,180ppm 約1,420ppm 約1,620ppm
1回/h 約810ppm 約1,030ppm 約1,170ppm 約1,250ppm
2回/h 約740ppm 約850ppm 約890ppm 約900ppm

換気回数が2回/h あれば、6人の会議が2時間続いても900ppm程度で頭打ちになります。逆に0.5回/hだと1時間で基準の1,000ppmを超えます。長い会議で後半に眠くなるのは、この差かもしれません。

厚生労働省が示している目安

時間ではなく、量と濃度で示されています。

項目 目安
必要換気量 1人あたり毎時30㎥
CO2濃度 概ね1,000ppm以下に維持
屋外のCO2濃度(参考値) 415〜450ppm程度
温度・相対湿度 18〜28℃/40〜70%

ちなみに、1人あたり30㎥/hを確保すると室内のCO2濃度は約1,100ppmで平衡します。この2つの数字は同じことを別の側面から言っています。

冬は「2方向を全開」より「一方向を少し、常時」

意外に思われるかもしれませんが、冬場について厚生労働省は「一方向の窓を少しだけ開けて常時換気をする方が、室温変化を抑えられます」と案内しています。

短時間の全開を繰り返すと室温が上下し、暖房負荷も増えます。CO2の観点からは、大きく開けて短時間より、少し開けて連続のほうが、濃度を一定に保ちやすいという面もあります。上の計算表で言えば、換気回数1回/hを常時維持できていれば、6畳の寝室でも1,000ppm前後で安定します。

そもそも、なぜ換気が必要なのか

時間の話に入る前に、何を外に出したいのかを整理しておきます。換気で入れ替えているものは1つではありません。

出したいもの 発生源 換気以外の手段
二酸化炭素(CO2) 人の呼気 なし(換気だけ)
水蒸気(湿気) 呼気・発汗、調理、入浴、洗濯物 除湿機・エアコンの除湿
におい 調理、生活、ペット 空気清浄機(脱臭フィルター)
ホコリ・花粉・PM2.5 屋外から、衣類から 空気清浄機
揮発性有機化合物(VOC) 建材、家具、塗料、接着剤 —(低減には時間がかかる)
人体、家電、日射 エアコン

この表で注目してほしいのは、CO2だけが「換気以外に手段がない」という点です。湿気は除湿機で、においとホコリは空気清浄機で、熱はエアコンで対処できます。CO2だけは、外の空気と入れ替える以外に減らす方法がありません。

そしてCO2は、屋外の値がほぼ一定(415〜450ppm)で、発生源が人に限られます。だから「その部屋にどれだけ換気が足りていないか」をそのまま示す指標になります。湿度やにおいは季節や生活行動で動くため、換気量の判断には使いにくいのです。

24時間換気システムの種類と、見落としやすい落とし穴

2003年の建築基準法改正により、住宅には原則として24時間換気設備の設置が義務づけられています。基準は換気回数0.5回/h以上です。

第1種・第2種・第3種の違い

方式 給気 排気 特徴
第1種 機械 機械 給排気とも機械なので風量が安定する。熱交換型にすれば冬の温度低下を抑えられる。設備コストは高い
第2種 機械 自然 室内が正圧になり、外からの汚染空気が入りにくい。手術室やクリーンルームなど
第3種 自然(給気口) 機械 住宅でもっとも一般的。設備が簡素で安価。給気口の状態に左右されやすい

「動いているのに効いていない」がよく起きます

とくに第3種は、排気ファンだけが機械です。給気側は壁の給気口に頼っているため、次のような状態だと風量が出ません。

この状態でも、ファンは回っているので「換気している」ように見えます。実際に効いているかどうかは、CO2濃度が下がるかどうかでしか判断できません。給気口のフィルターは、年に1〜2回は確認してください。

季節ごとの換気の考え方

夏|エアコンはつけたままでかまいません

「換気するならエアコンを止めるべき」と考えがちですが、つけたままで問題ありません。むしろ止めてしまうと室温が戻るまでに時間がかかり、結果的に消費電力が増えることがあります。

換気する時間帯は、外気温の上がりきる日中を避け、朝と夕方にするのが現実的です。なお、エアコン自体には換気機能がない機種が大半なので、運転していてもCO2は下がりません。

冬|「少しだけ、常時」が厚生労働省の推奨

前述のとおり、冬場については一方向の窓を少しだけ開けて常時換気する方法が案内されています。短時間の全開を繰り返すより室温変化が小さく、CO2濃度も安定します。暖房もつけたままでかまいません。

熱交換型の第1種換気があれば、外気を室温に近づけてから取り込むため、この問題はかなり緩和されます。

花粉・PM2.5の時期|開け方を工夫する

花粉を気にして換気をやめてしまうと、今度はCO2が上がります。粒子は空気清浄機、CO2は換気と役割を分けて、両方を回すのが正解です。

雨の日|長時間は避ける

雨天時に長く窓を開けると、室内の湿度が上がります。カビの原因になるため、短時間で済ませるか、雨上がりに行うほうが無難です。CO2だけを下げたいなら、換気扇や24時間換気の活用で足ります。

換気に適した時間帯はあるか

CO2の観点では、答えははっきりしています。人がいる時間に換気してください。

CO2は人がいるときにだけ上がります。誰もいない昼間に窓を全開にしても、そのとき室内は元々低い状態です。夕方以降に人が集まってから閉め切れば、また上がります。「朝だけ換気している」という運用が意外と効かないのは、このためです。

そのうえで、次の条件がある場合は時間帯を調整してください。

窓がない・開けられない部屋はどうするか

高層階のオフィス、窓のない会議室、地下の店舗などです。この場合、機械換気に頼るしかありません。

  1. まず現状のCO2濃度を測る。設備が入っていても足りているとは限りません
  2. 1,000ppmを超えるなら、給気量が在室人数に対して足りていない。1人あたり毎時30㎥が目安です
  3. ドアを開けて隣室と空気を共有する。応急的ですが効果があります
  4. 外気導入量の調整、またはCO2濃度に連動した換気制御を検討する。在室人数が変動する部屋ほど、デマンド制御の費用対効果が高くなります

実務的な結論:時間ではなくppmで判断する

ここまでをまとめると、こうなります。

CO2モニターを1台置くと、「窓を開けてから何分で下がるか」が自分の部屋の実測値として分かります。一度分かってしまえば、それ以降は時計で運用できます。最初に測って自分の部屋の答えを出す、というのが一番早い解決策です。

換気の効果を上げる4つのコツ

  1. 2方向を開ける。1ヶ所だけでは空気の通り道ができません。対角線上の2ヶ所が理想です
  2. 部屋のドアを開ける。窓が1つしかない部屋では、ドアを開けて廊下側との通り道をつくると効果が上がります
  3. サーキュレーターは「外に出す」向きに。窓に向けて回すと排気を助けます。厚生労働省の資料では、ファンは人の風下側に置くよう案内されています
  4. 換気扇を併用する。レンジフードや浴室の換気扇は、家の中でもっとも風量の大きい排気設備です。窓を開けたうえで回すと、通り道が明確になります

よくある質問

換気は何分すればいいですか?

条件によって3分から2時間以上まで変わるため、一律の答えはありません。目安として厚生労働省は「1人あたり毎時30㎥の換気量」「CO2濃度を概ね1,000ppm以下」を示しています。CO2濃度を測れば、その部屋で何分必要かが実測で分かります。

1時間に何回換気すればいいですか?

回数よりも、常時どれだけ換気できているかが重要です。住宅の24時間換気は0.5回/hを基準としており、これが正常に動いていれば1人での在室なら概ね1,500〜2,000ppmの範囲に収まります。人数が増えるほど、追加の換気が必要になります。

換気何分で空気が入れ替わりますか?

換気回数が分かれば計算できます。換気回数5回/hなら12分で1回分の空気が入れ替わる計算です。ただし実際の窓開けでの換気回数は測らないと分かりません。

寒い日はどうすればいいですか?

厚生労働省は冬場について、一方向の窓を少しだけ開けて常時換気する方法を案内しています。室温変化を抑えつつ換気を続けられます。短時間の全開を繰り返すより、室温も濃度も安定しやすい方法です。

換気扇を回していれば窓を開けなくていいですか?

排気だけでは、給気が確保されていないと空気は入れ替わりません。給気口が閉まっていたり家具でふさがれていたりすると、換気扇が回っていても風量が出ていない場合があります。CO2濃度が下がるかどうかで確認できます。

エアコンをつけたまま換気してもいいですか?

問題ありません。むしろ止めると室温が戻るまでに時間がかかり、消費電力が増えることがあります。なお、換気機能つきの機種を除き、エアコン自体はCO2を下げません。

花粉の時期はどう換気すればいいですか?

飛散量の少ない早朝・夜間に、窓を10cm程度だけ開け、レースカーテンを閉めたまま換気してください。換気後に空気清浄機を回すと、入ってきた粒子を除去できます。花粉を避けて換気をやめると、今度はCO2が上がります。

24時間換気があれば窓を開けなくていいですか?

1人での在室であれば、0.5回/hの換気で概ね1,500〜2,000ppmの範囲に収まります。ただし人数が増えるとこの範囲を超えます。また、給気口が閉じられていたりフィルターが目詰まりしていると、設計どおりの風量が出ていない場合があります。

まとめ

この記事の計算の前提

表の数値は次の前提で計算した理論値です。実際の値は室内の気流や測定位置によって変わります。

参考にした資料

CO2濃度は「測る」と一目で分かります

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