結論を先に書きます。室内のCO2濃度を下げる方法は「換気」だけです。空気清浄機・エアコン・観葉植物では下がりません。CO2は室内で分解も吸着もされないため、外の空気と入れ替える以外に減らす手段がないからです。
この記事では、よく挙げられる7つの方法を「効くもの」「効かないもの」に分けて整理します。効かない理由も、なるべく数字で説明します。
下がったかどうかは、測れば分かります
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7つの方法を先に一覧で
| 方法 | 効果 | ひとこと |
|---|---|---|
| ① 2方向の窓を開ける | 大きい | 最も確実。1ヶ所だけでは効果が落ちる |
| ② 24時間換気を止めない | 大きい | 0.5回/hの有無で8時間後が倍以上変わる |
| ③ 換気扇(レンジフード・浴室)を回す | あり | 家の中で最も風量が大きい排気設備。給気とセットで |
| ④ 機械換気の給気量を増やす/CO2連動制御 | 大きい | 窓が開けられない建物での本命 |
| ⑤ 空気清浄機を回す | なし | CO2を除去する機能はない |
| ⑥ エアコンをつける | ほぼなし | 換気機能つきの機種を除き、外気を入れていない |
| ⑦ 観葉植物を置く | ほぼなし | 量が桁違いに足りない。夜間は逆に排出する |
効果がある方法
① 2方向の窓を開ける
もっとも確実な方法です。ポイントは2ヶ所であること。1ヶ所だけ開けても空気の入口と出口ができないため、入れ替わりが進みません。厚生労働省の資料でも「2方向を窓開けると換気効果が大きい」とされています。
対角線上の2ヶ所を開けるのが理想です。窓が1つしかない部屋では、部屋のドアを開けて廊下側との通り道をつくると効果が上がります。
どのくらい下がるかは換気回数によります。CO2が2,000ppmまで上がった部屋を1,000ppmまで下げるのにかかる時間は、次のとおりです(屋外450ppm、完全混合と仮定した計算値)。
| 換気回数 | 2,000ppm → 1,000ppm |
|---|---|
| 1回/h(少しだけ開けている) | 約62分 |
| 5回/h(1ヶ所しっかり開けている) | 約12分 |
| 20回/h(2方向全開・風あり) | 約3分 |
② 24時間換気を止めない
2003年以降の住宅には、原則として24時間換気設備の設置が義務づけられています。基準は換気回数0.5回/hです。
これがあるかないかで、結果は大きく変わります。6畳の寝室に大人1人がいた場合の計算値です。
| 換気の状態 | 2時間後 | 8時間後 |
|---|---|---|
| 24時間換気あり(0.5回/h) | 約1,500ppm | 約2,090ppm |
| 止めている(0.1回/h) | 約1,960ppm | 約5,040ppm |
音が気になって止めている、という話をよく聞きますが、8時間後の濃度は倍以上変わります。風量を下げる、機種を見直すといった対処のほうが現実的です。
あわせて確認してほしいのが給気口です。排気だけ動いていても、給気が確保されていなければ空気は入れ替わりません。給気口が閉じられていたり、家具でふさがれていたり、フィルターが目詰まりしていることがあります。
③ 換気扇(レンジフード・浴室)を回す
レンジフードは、家庭内でもっとも風量の大きい排気設備です。窓を少し開けたうえで回すと、明確な空気の通り道ができます。
ただし、これも給気とセットです。高気密の住宅でレンジフードだけを強で回すと、給気が追いつかず風量が出ないことがあります。給気口を開ける、窓を少し開けるといった対応が必要です。
④ 機械換気の給気量を増やす/CO2連動制御
高層階のオフィス、窓のない会議室、店舗など、そもそも窓を開けられない場所ではこれが本命になります。
厚生労働省が示している目安は1人あたり毎時30㎥です。この換気量を確保すると、CO2濃度は約1,100ppmで平衡します。1人あたりの換気量と平衡濃度の関係は次のとおりです(計算値)。
| 1人あたり換気量 | 平衡する濃度 |
|---|---|
| 10㎥/h | 約2,450ppm |
| 20㎥/h | 約1,450ppm |
| 30㎥/h(厚労省の目安) | 約1,120ppm |
| 40㎥/h | 約950ppm |
| 50㎥/h | 約850ppm |
在室人数が時間帯で変わる部屋(会議室・教室・店舗)では、常時最大換気にすると冬は暖めた空気を、夏は冷やした空気を捨て続けることになります。CO2濃度に応じて換気量を自動調整する制御(デマンド換気)にすれば、空気環境を保ちながら空調負荷を抑えられます。
効果がない・限定的な方法
⑤ 空気清浄機ではCO2は下がりません
空気清浄機がやっているのは、空気中に浮かぶ粒子(ホコリ・花粉・PM2.5)をフィルターで捕らえることと、においの原因物質を吸着することです。
CO2は気体の分子で、HEPAフィルターの網目とは桁が違うため素通りします。活性炭フィルターも、CO2を実用的な量で吸着することはできません。CO2を除去する機能は搭載されていません。
CO2モニターを置いて空気清浄機を運転すると、数値がまったく動かないことがそのまま確認できます。空気清浄機が無意味という話ではなく、役割が違うということです。粒子とにおいは空気清浄機、CO2は換気、という分担になります。
⑥ エアコンでもCO2は下がりません
一般的なエアコンは、室内の空気を吸い込んで熱交換し、また室内に戻しています。外気は取り込んでいません。そのため、いくら運転してもCO2濃度は下がりません。
近年は換気機能つきのエアコンもありますが、その場合も換気量は限られます。カタログで換気量(㎥/h)を確認し、在室人数×30㎥/hと比べてみてください。
⑦ 観葉植物では下がりません
「植物が光合成でCO2を吸うから」という発想はもっともですが、量が桁違いに足りません。
成人1人が呼吸で出すCO2は1時間あたり約20リットルです。8時間で約160リットル。この量を光合成で吸収させようとすると、明るい光の下に置いた大量の植物が必要になります。一般的な室内の照度では光合成の速度自体がほとんど上がりません。
さらに、植物は夜間には呼吸をしてCO2を出します。寝室に植物を置いても、寝ている間はむしろ発生源側に回ります。
観葉植物には、湿度をわずかに上げる、視覚的な効果があるなど別の価値があります。ただしCO2対策として当てにできる量ではないというのが実情です。
場所別・状況別の下げ方
寝室
締め切った6畳の寝室に大人1人なら、24時間換気が動いていても朝には2,000ppm前後になります(計算値)。夫婦2人ならさらに上がります。
- 就寝前に数分、2方向を開けてリセットしておく
- 寝室のドアを10cmほど開けておく。廊下側と空気を共有できます
- 24時間換気を止めない。給気口が閉じられていないか確認する
- 音が気になる場合は、風量を下げる/機種の見直しを検討する
窓のない会議室
6人で換気回数0.5回/hだと、1時間の会議の途中で1,000ppmを超えます。
- 会議の前後にドアを開放して、廊下と空気を入れ替える
- 長い会議は途中で休憩を入れ、そのタイミングでドアを開ける
- 恒久対策としては、外気導入量の調整かCO2連動の換気制御
飲食店・店舗
混雑時間帯に濃度が跳ね上がるのが特徴です。人数の変動が大きいため、常時最大換気にすると空調負荷が無駄になります。
- 厨房のレンジフードは強力な排気設備。給気とセットで運用する
- 入口の風除室やドアの開閉も換気に寄与しますが、当てにはできません
- 混雑時間帯に合わせて換気量を上げる運用、またはCO2連動制御が有効です
在宅ワークの書斎
狭い部屋に長時間1人でこもるため、意外と上がります。4畳半(約18㎥)に大人1人でこもった場合の計算値です。
| 換気の状態 | 2時間後 | 4時間後 | 8時間後 |
|---|---|---|---|
| 24時間換気あり(0.5回/h) | 約1,870ppm | 約2,390ppm | 約2,660ppm |
| 隙間換気のみ(0.1回/h) | 約2,490ppm | 約4,150ppm | 約6,640ppm |
午後の眠気や集中力の低下が、空気環境によるものである可能性は十分にあります。
- 1〜2時間ごとにドアを開ける。それだけでも効果があります
- サーキュレーターをドアや窓に向けて回すと、排気を助けられます
結局、どれがどれだけ効くかは測らないと分かりません
ここまで挙げた数値はすべて計算値です。実際の部屋は、隙間の量も、給気口の状態も、窓の外の風速も違います。
CO2モニターを1台置くと、次のことがその場で確認できます。
- 窓を2ヶ所開けたとき、何分で1,000ppmを下回るか
- 1ヶ所だけの場合とどれだけ違うか
- 24時間換気を止めると、朝までにどこまで上がるか
- 空気清浄機を回しても数値が動かないこと
- 換気設備が本当に効いているか
一度自分の部屋で確認してしまえば、それ以降は迷わなくなります。「なんとなく空気が悪い気がする」が「いま1,400ppmだから開けよう」に変わります。
まず1台、置いて確かめる
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よくある質問
部屋の二酸化炭素濃度を下げる方法は?
換気です。窓を2方向開ける、24時間換気を止めない、機械換気の給気量を増やす、のいずれかになります。空気清浄機・エアコン・植物ではCO2は下がりません。
CO2を下げる機械はありますか?
一般の住宅・オフィス向けに、CO2を除去する装置は普及していません(宇宙船や潜水艦では二酸化炭素吸収装置が使われますが、日常環境向けの製品ではありません)。実用的な選択肢は換気設備の増強と、CO2濃度に連動した換気制御です。
空気清浄機は換気の代わりになりますか?
なりません。空気清浄機は粒子とにおいを対象としており、CO2を除去する機能はありません。役割が違うため、併用するものと考えてください。
窓を1ヶ所だけ開けても意味がありますか?
まったく無意味ではありませんが、2ヶ所開けた場合と比べて効果は大きく落ちます。空気の入口と出口ができないためです。窓が1つしかない部屋では、部屋のドアを開けて廊下側との通り道をつくってください。
冬でも窓を開けたほうがいいですか?
厚生労働省は冬場について、一方向の窓を少しだけ開けて常時換気する方法を案内しています。短時間の全開を繰り返すより室温変化を抑えられ、CO2濃度も安定しやすくなります。
寝室のCO2が朝に高いのですが
締め切った6畳の寝室に大人1人なら、24時間換気が動いていても朝には2,000ppm前後になる計算です。設備の不具合ではなく、部屋の広さと換気量から見て自然な結果です。就寝前の換気、ドアを少し開けておく、24時間換気を止めないといった対策が有効です。
まとめ
- CO2を下げる方法は換気だけ。室内で分解も吸着もされないため
- 効くのは 2方向の窓開け/24時間換気/換気扇/機械換気の増強
- 効かないのは 空気清浄機/エアコン/観葉植物
- 1人あたり毎時30㎥の換気量で、CO2は約1,120ppmで平衡する(計算値)
- どの方法がどれだけ効くかは部屋ごとに違う。測れば5分で分かります
この記事の計算の前提
- 屋外のCO2濃度:450ppm
- 成人1人あたりのCO2発生量:0.02㎥/h(安静時)=1時間あたり約20リットル
- 室内の空気は瞬時に均一に混合すると仮定(完全混合モデル)
- 6畳=約24㎥として計算