建築物衛生法(ビル管法)の空気環境基準まとめ|2022年4月改正対応

建築物衛生法(通称ビル管法)では、特定建築物の室内空気について7つの項目に管理基準が定められています。二酸化炭素は1,000ppm以下、測定は2か月以内ごとに1回です。2022年(令和4年)4月には温度と一酸化炭素の基準が改正されました。

この記事では、対象になる建物の要件、7項目の基準値、測定方法のルールを、厚生労働省の資料にもとづいて整理します。「うちの建物は対象なのか」「何を、どこで、いつ測ればいいのか」に答えられる内容にしています。

建築物衛生法とビル管法は同じものです

正式名称は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(昭和45年法律第20号)。現場では「ビル管法」「ビル管理法」と呼ばれることが多く、いずれも同じ法律を指します。

目的は、多数の人が使用・利用する建築物の維持管理に関して、環境衛生上必要な事項を定めることです。所管は厚生労働省で、実際の指導監督は都道府県知事・保健所設置市の市長などが行います。

対象になるのはどの建物か(特定建築物)

用途と面積の要件

この法律の規制を直接受けるのは「特定建築物」です。要件は次の2つを両方満たすことです。

要件 内容
用途 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、旅館 など
延べ面積 3,000㎡以上(学校教育法第1条に規定する学校は8,000㎡以上

厚生労働省の資料では、特定建築物は「多数の者が使用し、又は利用し、かつ、その維持管理について環境衛生上特に配慮が必要な延べ床面積3,000㎡以上の建築物」と説明されています。

学校だけ面積要件が違う理由

学校教育法第1条に規定する学校(小学校・中学校・高等学校など)は8,000㎡以上が要件です。これは、学校には別途学校環境衛生基準という枠組みがあるためです。なお、専修学校や各種学校は「学校教育法第1条の学校」に含まれないため、3,000㎡以上で対象になります。

対象外でも「事務所衛生基準規則」は適用されます

ここが実務上いちばん見落とされる点です。「延べ面積3,000㎡未満だからビル管法の対象外」という建物でも、そこに事務室があれば労働安全衛生法にもとづく事務所衛生基準規則が適用されます

事務所則では、空調設備や機械換気設備を設けている場合、供給空気の二酸化炭素は1,000ppm以下とされています。結果として、エアコンの入った一般的なオフィスは、規模にかかわらず実質1,000ppmが基準ということになります。

空気環境の管理基準【7項目】

建築物環境衛生管理基準のうち、空気環境の調整に関する基準は次のとおりです。

項目 基準値 備考
浮遊粉じん量 0.15mg/㎥以下 相対沈降径10μm以下の粒子
一酸化炭素 6ppm以下 2022年4月改正(旧:10ppm以下)
二酸化炭素 1,000ppm以下 改正なし
温度 18℃以上28℃以下 2022年4月改正(旧:17℃以上28℃以下)
相対湿度 40%以上70%以下 改正なし
気流 0.5m/秒以下 改正なし
ホルムアルデヒド 0.1mg/㎥以下 測定時期が他と異なる(後述)

2022年(令和4年)4月の改正点

令和4年4月1日施行の政令改正で、次の3点が変わりました。古い資料や社内マニュアルが旧基準のままになっていないか、一度確認することをおすすめします。

項目 改正前 改正後
温度 17℃以上28℃以下 18℃以上28℃以下
一酸化炭素 10ppm以下 6ppm以下
一酸化炭素の特例 外気が汚染されている場合は20ppm以下 特例規定を削除

あわせて、建築物環境衛生管理技術者の選任についても要件が見直されています。二酸化炭素の1,000ppmは変更されていません。

測定の方法とルール

基準値だけを知っていても実務は回りません。測り方まで細かく決まっています。

頻度:2か月以内ごとに1回

浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流の6項目は、2か月以内ごとに1回測定します。年6回ということです。

ホルムアルデヒドは別扱い

ホルムアルデヒドだけは頻度が違います。特定建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替えを行った後、使用を開始した日以後に最初に到来する6月1日から9月30日までの期間に1回測定します。

測定位置:各階1か所以上、居室の中央部、床上75〜150cm

厚生労働省の資料では次のように示されています。

各階ごとに1カ所以上適当な居室を選んで、その中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定

壁際や給気口の真下ではなく居室の中央部、高さは人の呼吸域に相当する床上75〜150cmという点が重要です。この条件から外れると、同じ部屋でも数値は変わります。

測定時間帯:1日2時点

始業後~中間時、中間時~終業前の適切な2時点において

朝いちばんに1回測って終わり、ではありません。人が入って濃度が上がった状態も含めて確認する趣旨です。

空気環境以外の管理基準

建築物環境衛生管理基準は空気環境だけではありません。実務では次の項目もセットで管理する必要があります。

区分 主な内容 頻度
給水の管理 受水槽・高置水槽の清掃 1年以内ごとに1回
水質検査(省略不可項目) 6か月以内ごとに1回
排水の管理 排水設備の清掃 6か月以内ごとに1回
清掃 日常清掃に加え、大掃除 6か月以内ごとに1回
ねずみ等の防除 統一的な調査 6か月以内ごとに1回

自治体によっては、これより厳しい上乗せ指導があります。たとえば東京都では、排水槽の清掃を原則4か月以内ごとに1回、ねずみ等の調査を月1回以上とするよう指導しています。所在地を管轄する保健所の指導内容を必ず確認してください。

建築物環境衛生管理技術者の選任

特定建築物の所有者等は、維持管理が環境衛生上適正に行われるよう監督させるため、建築物環境衛生管理技術者(通称ビル管理技術者・ビル管理士)を選任しなければなりません(法第6条)。選任の単位は特定建築物ごとです。

令和4年4月に兼任の要件が緩和されました

改正前は、1人が複数の特定建築物の管理技術者を兼任することは、一定の条件を満たす場合を除いて原則できませんでした。

令和4年4月の改正により、「兼任しても業務の遂行に支障がないことを所有者等が確認できた場合」に兼任が可能になりました。ただし「確認できた場合」という条件がついている点が重要です。無条件に兼任できるようになったわけではなく、建物の規模・用途・距離・業務量などを踏まえた所有者側の確認と、その記録が求められます。

届出の義務

建物が特定建築物に該当することになったときは、その日から1か月以内に、都道府県知事等(保健所設置市等ではその市長等)へ届け出る必要があります(法第5条)。

あわせて、次の場合にも届出が必要です。

届出義務違反や、改善命令に従わない場合には罰則の規定が設けられています。

定期測定「だけ」では見えないこと

ここまでのルールを守っていれば、法令上の義務は果たしていることになります。ただし、実務として空気環境を良くしたいのであれば、定期測定には構造的な限界があります。

実際、定期測定では基準内なのに「あの会議室は空気が悪い」という声が上がり続ける、というのはよくある話です。そのギャップを埋めるのが常時モニタリングです。

常時モニタリングで分かること

記録機能つきのCO2モニターを使えば、これらをデータとして残せます。設備投資の必要性をオーナーや経営層に説明するとき、体感ではなくグラフで示せるかどうかで話の通りやすさが変わります。

定期測定の「間」を埋める記録型CO2モニター

個人のお客様・1台のご購入は Amazon が最短です。複数台・設備連動のご相談はフォームからどうぞ。

よくある質問

建築物衛生法とビル管理法の違いは何ですか?

同じ法律です。正式名称が「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で、通称として建築物衛生法・ビル管法・ビル管理法などと呼ばれています。

延べ面積3,000㎡未満なら何もしなくてよいですか?

いいえ。ビル管法の特定建築物には該当しませんが、事務室があれば労働安全衛生法にもとづく事務所衛生基準規則が適用されます。空調・機械換気設備がある場合、二酸化炭素は1,000ppm以下が求められます。

空気環境測定は誰が行うのですか?

実務上は登録業者に委託するケースが一般的です。測定に用いる機器は、法令で定められた性能を満たしている必要があります。自社で日常的に把握したい場合は、法定測定とは別に常時モニタリング用の機器を設置する形になります。

基準を超えていたらどうなりますか?

速やかに改善措置を講じる必要があります。保健所からの立入検査で指摘を受けた場合、改善指導・改善命令の対象となり、命令に従わない場合は罰則の規定もあります。

CO2だけ上がるのはなぜですか?

二酸化炭素は主に人の呼気から発生するため、在室人数と換気量のバランスをそのまま反映します。粉じんや一酸化炭素は基準内なのにCO2だけ高い、という状態は「人に対して外気の取り入れが足りていない」ことを意味します。つまりCO2は、換気量が足りているかを判断する最も分かりやすい指標です。

まとめ

参考にした資料

CO2濃度は「測る」と一目で分かります

1台のご購入はAmazonが最短です。オフィス・学校・施設など複数台の導入や、換気設備との連動をご検討の場合はお問い合わせください。

← メディア一覧に戻る